神勝寺 禅と庭のMUSEUM

天心山神勝寺は、1965年に建立された臨済宗建仁寺派のお寺です。広島県の福山市に居を構えるお寺で、山陽新幹線も通るJR福山駅から車で30分ほどの山あいに位置しています。座禅や写経の体験ができることで知られた神勝寺ですが、2016年にこのお寺の7万坪にも及ぶ広大な敷地に作られた「神勝寺 禅と庭のミュージアム」が大きな話題を呼ぶことになります。

美しい自然と調和した禅の空間

全体設計を創作プラットフォーム「SANDWICH」で活動する彫刻家、名和晃平が中心になっておこなったこのミュージアム。常設展示館「荘厳堂」では、白隠禅師の禅画、墨跡が楽しめますが、それだけではありません。

このミュージアムは、各種建築物を含めた広大な空間全てがミュージアムとして構成されています。福山の美しい景観に調和するように配された、それらの建築物がその最大の魅力なのです。

滋賀県の「大本山永源寺」から移築された日本古来の建築美を誇る「含空院」では、お茶を楽しむこともできます。建築家/建築史家である藤森照信が手掛けた「松堂」は、事務所として使用されていますが、緑の木々に自然に溶け込むその外観が美しい建物です。

そして名和晃平が手掛けたあまりに個性的な「洸庭」は、まさしくこのミュージアムのクライマックスです。伝統的なこけら葺きを応用した舟型の外観は、不思議な存在感を発しながらも、周りの自然に溶け込むオブジェでもあるのです。