ヨドコウ迎賓館

建築に興味がある方で、フランク・ロイド・ライトの名前を聞いたことがないという方は、おそらくほとんどいないはずです。それほど高名なこのアメリカ出身の建築家ですが、実は多くの素晴らしい建築をこの日本に残しています。

もっとも有名なものは、おそらく旧帝国ホテルということになるのでしょうが、「自然との調和」という意味では、この旧山邑家住宅、現在のヨドコウ迎賓館こそがもっとも素晴らしい建築になるはずです。

自然との調和を目指した建築家

ライトは、自然と建築物の調和をテーマの1つとして常に持ち続けた建築家で、このヨドコウ迎賓館を生み出した後も、アメリカはペンシルバニア州に落水荘という自然と融和した素晴らしい建築物を残しています。

この落水荘はライトの代表作とされ、かのアルベルト・アインシュタインやチャールズ・チャップリンも訪れたほどです。ヨドコウ迎賓館はその雛形になった可能性もある作品で、兵庫県六甲山の麓に自然と見事な調和を見せながら、現在も佇んでいます。

ロイドはヨドコウ迎賓館を建築するにあたり、六甲山の稜線を損なわないよう気を使い、また館内からも自然との一体感を感じ取れるような眺望を確保しているといわれています。

外装で使用した大谷石を室内にも顔を出させることで、外と中の融和をおこなうという発想も、ロイドならではのものであり、どれほど自然との融和を意識していたかを如実に表しています。