仁王門

宀一山 室生寺の山号

古くから室生山寺と呼ばれ、山岳信仰や祈雨の道場として尊崇をうけてきた。
一名を「宀一山(べんいちざん)」と呼ばれるのは、この霊山としての「室生山」の文字を略した山号である。

室生寺

創建はつまびらかではない。
寺伝によれば、奈良時代、天武天皇の発願により役小角が創建、その後、空海が真言宗の道場のひとつとして再興したという。また、「続日本紀」などによれば、777年(宝亀8)、皇太子の山部親王(のちの桓武天皇)の病気平癒を願って、興福寺の大僧都賢ら浄行僧5人が室生山中で「延寿法」を修したところ病気は回復した。賢璟は天皇の命を受け、室生山寺を創建したとされる。当時、室生山の一帯は山林修行の霊地として独特の宗教圏を形成していた。

仁王門

元禄の焼失以来永くその姿を消していたが、昭和40年11月に再建されて朱塗りの色もま新しい。仁王像も昭和の再興像である。

弥勒堂(重文)

もとは伝法院と呼ばれ、修円が寺の創建時に興福寺伝法院を移したと伝えられるが、現在の建物はその由緒を受け継いだものである。
正面三間の単層入母屋造りの杮葺の堂で、周囲に縁をめぐらしている。正確な年次は不明だが、様式の上で鎌倉時代の中期に下らない。しかし当初のままで残るのは方一間の内陣だけで、内陣の細やかな小組格天井などに鎌倉時代の純和様の特色を残している。室町時代に妻入の南向きから現在の平入の東向に改造された。

軍茶利明王と石仏

金堂の手前天神社拝殿の傍に巨岩があって軍茶利明王を浮彫にしてある。これは銘文に「煩悩菩提生死涅槃」と刻し1727年(享保12年)に住持密山が奉納したものである。
五重塔の左側には一見お地蔵様に見える石仏が並んでいる。これは室生山八十八ヶ所霊場の仏様である。昭和12年3月に調査をしたところ、この様な石仏が祀られている寺院もあることがわかっている。定められた箇所にない石仏の一部は五重塔左側の一ヶ所に安置するようになったのだが、詳しい事は不明である。

金堂(国宝)

正面五間、側面五間の単層寄棟造の杮葺の堂であるが、実は奥の四間の正堂の前面に、江戸時代に一間通りの庇(礼堂)を縋破風にして加えたもので、この部分は高い床柱を一段下の石積壇上まで延ばして懸造りにし、廻縁と高欄をめぐらしている。したがって奥の正堂部分が平安時代初期以来の建物で、ここはかつて入母屋造りであったらしいが、数回にわたって修理されている。しかし当山の五重塔とともに、わが国における平安初期の山寺の仏堂としては唯一のもので、高く評価されている。

龍神伝説

室生山中には龍神が棲むとされる龍穴があり、龍神を祀った龍穴神社と室生寺は古くからつながりがある。かつて寺は「龍王寺」ともよばれ、雨請いの法要が営まれ、龍神には善女龍王と神名が授けられたという。

本堂/潅頂堂(国宝)

正面五間、奥行五間の単層入母屋造・檜皮葺で正面だけに蔀戸をおろし、他は壁板とするが、軒の反りがかなり強い建物である。軒回りの和様の組物に加えて大仏様の木鼻をつけるなど、鎌倉時代の折衷様式を示している。延慶元年(1308)の建立。内部は前方の二間が外陣、後方三間を内陣として、いずれも板敷きとするほか、その境は板扉や肓連子窓で厳重に区画し、密教系の仏堂の古式な間取りを踏襲している。外陣も内陣も柱をおかない広い部屋として、全面に格天井を張っている。外陣は礼堂ではなく本来道場として扱われる。一方内陣には本尊如意輪観音像の他、左右向かい合わせに金剛・胎蔵の両界曼荼羅を掛け、その正面に大壇が置かれている。ここが真言宗にとって重要な法儀「潅頂」を行う空間である。

五重塔(国宝)

高さ16.1メートル平面が方2.45メートルで、屋外に建つ五重塔としてはわが国で最も小さい。各重は方三間、三手先組物の軒廻りに、二重以上には高欄がつく。檜皮葺の屋根は勾配が少なく、また総幅の逓減は極端に小さい。
室生寺の創建期に遡る天平末から平安初期の唯一の建物。
塔の上を飾る相輪が珍しい形式で、九輪の上の普通なら水煙を置く部分に、受花つきの宝甁を据え、さらに八角の天蓋と竜車・宝珠をあげている。宝甁が室生の水を像徴する水甁であるかとする説もあるが、これが舎利容器とすれば、舎利を荘厳する塔の相輪意匠としては、経説にというところにかなってくる。

奥之院(国宝)

奥之院までの道中

五重塔からさらに杉並木を進めば奥之院へと続く道がある。
中ほどに無明橋とよばれる朱塗りの橋がかかり、天然記念物のシダの群落がある。ここから約400段の石段を登りつめると奥之院である。奥之院までの石段は境内入口(太鼓橋)から720段あるとされている。

室生寺の木々

境内には主にヒノキ、杉がたくさん生えており。
太鼓橋から入山受付までの途中に3本の杉がある。これを三宝杉と名付けられている。たくさんの古木があるが、その中でもヒノキは職人の手によって皮をむき、檜皮葺の本堂(灌頂堂)、五重塔の葺き替えの際に使用している。その他、モミジ、イチョウなどもあり、秋には綺麗に紅葉する。